2011年3月7日月曜日

性犯罪被害の低年齢化は事実か?

一年ぶりに、物置に物を置きます。


ちまたで「最近は性犯罪被害が低年齢化している」と言われますが、事実でしょうか?

実は統計的に見て、小学生以下の性犯罪被害は減少しています。

幼女レイプ被害者統計

では、性犯罪被害の低年齢化はウソでしょうか?

このサイトのデータ(元は警察庁「犯罪統計書」)と、出生数、出生率の推移から、もう少し検討してみました。


まず、こちらは上記リンク少年犯罪データベースさんの引用です。


小学生以下については上記の通り減少の一途ですが、実は90年代後半から戦後、おおむね減ってきた強姦被害者数は増加に転じています。その中で中学生以上の未成年被害も増加していますが、それが即、低年齢化と言えるかどうかは全体からの割合も見てみないと判りません。

そこで、被害者数/被害総数のグラフを作ります。

結果、小学生以下は割合でも減少していますが、それ以上の年齢ではこれといった傾向は見えません。

さて、次に考えるのは、出生率の変動です。

人口に対する低年齢者数の割合は、近年の出生率低下により、減りつづけています。

それを加味して考えなければ、被害率における本当の傾向は判りません。

そこで、出生数の統計から、世代別の人口(推測)を算出し、被害者数/世代別母数のグラフを作ります。

(成年に関しては統計データの不足及び、被害年齢を考慮するため、成年25を20~25歳、成年30を20~30歳で表し、また成年30は最初の5年のデータが欠けています)

この数値は、強姦被害に遭遇する危険性を世代ごとに示す値となるはずです。

結果は、小学生以下は一様に減少しています。他は90年前後が最も低い値となり、90年代後半から増加に転じます。そしてそれは成年を25歳までと計算した場合と、中卒未成年で顕著になります。

つまり、10代後半が強姦被害に遭う可能性は、90年代後半から顕著に増えています。


ここからさらに被害者数/世代別母数/被害総数のグラフを作ります。

これが強姦被害年代の純粋な割合としての推移を表したことになります。
結果は、小学生以下は減少して下げ止まりになり、中学生は減少から再増加に転じ、中卒未成年は顕著な増加を示しています。
成年を25歳までと計算した場合も顕著に増加し、30歳までとした場合はほぼ変化していません。


結論.
小学生未満を対象とする強姦被害の割合は減少しています。
中学生から25歳までの強姦被害の割合は近年増加しています。
中卒未成年の年代が強姦被害にあう割合は、90年代後半を境に約30(被害数/世代別人口/被害総数*10^8)から約50まで増大しました。

以上、性犯罪被害の低年齢化は、出生数の低下を考慮すると(小学生以下を除き)事実とみていいでしょう。